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 第8回の今週は、第28問について見ていきましょう。


 [問題]

 抵当権の物上代位に関する次のAからDまでの記述とその論拠であるアからウまでを正しく組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。

 A 抵当権者が物上代位権を行使して抵当建物の賃料債権を差し押さえた後は,抵当建物の賃借人は,抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって抵当権者に対抗できない。

 B 抵当権者が物上代位権を行使して抵当建物の賃料債権を差し押さえた後であっても,賃貸借契約が終了し,目的物が明け渡されたとき,抵当建物の賃貸人は差し押さえられた債権に係る債務に敷金を充当できる。

 C 抵当権者は,原則として,抵当建物の賃借人が取得すべき転貸賃料債権について物上代位権を行使できない。

 D 抵当権者は,抵当建物の賃料債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても,自らその債権を差し押さえて物上代位権を行使できる。



 ア 抵当権に基づく物上代位権は,抵当建物所有者の取得する債権について行使できる。

 イ 抵当権に基づく物上代位権は,目的債権が消滅していない限度で行使できる。

 ウ 物上代位により抵当権の効力が目的債権に及ぶことは,抵当権設定登記により公示されている。



 1.A−ウ B−イ C−イ D−ア

 2.A−イ B−ウ C−ウ D−ア

 3.A−イ B−ア C−ア D−ウ

 4.A−ウ B−ア C−イ D−イ

 5.A−ウ B−イ C−ア D−ウ





 [検討]

 法務省のHPによれば、本問の正解は“5”となっています。

 本問は、記述(A〜D)と論拠(ア〜ウ)の組合せの正誤を聞くものです。

 このような場合、

 @記述と論拠のテーマは合っているか?
 A内容として正確か?


 の二つの視点がポイントとなります。


 そこで、各肢のテーマについて検討します。

テーマ
物上代位の対象となる債権の債権者
物上代位の対象となる債権の存否
対抗問題



テーマ
“抵当権に基づく物上代位権行使”と“賃借人の相殺”との優劣

対抗問題
差押の後であっても、未払賃料に敷金を充当できるか?

物上代位の対象となる債権の存否
抵当建物の賃借人の取得すべき転貸料債権について、物上代位できるか?

物上代位の対象となる債権の債権者
“債権を譲り受けた第三者”と“物上代位する者”との優劣

対抗問題



 これを前提とすれば、A‐ウ、B‐イ、C‐ア、D‐ウの組合せができます。

 次に、“内容として正確か?”を検証することになるのですが、本問の場合、この点は特に問題となりません。

 これらを確認した上で、A‐ウ、B‐イ、C‐ア、D‐ウの組合せを、わかるところから作っていって順次、選択肢を絞るという解法をとることになります。


 [まとめ]


 本問の場合、文章が比較的短く、しかもテーマを判別しやすい“C‐ア”“D‐ウ”の組合せで選択肢を「3」「5」に絞り、“A‐ウ”“B‐イ”のうち、先にわかった方で正解を導くのが良いでしょう。

 よって、第28問における「関ヶ原」は、“A‐ウ”と“B‐イ”といえます。


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